推奨システムの要件からみると、インストールできるような気がします。しかし、赤で表示している部分については注意が必要と思われます。CPUが非力であること(ビスタのCPUの最小システム要件は800Mhz、あくまで「最小」という事です。)や、グラフィックカードのRAMが32MBとぎりぎりのスペックしか持っていないことを考えると、特にグラフィックにおける部分でインストール後に何らかの問題が発生すると思われます。
このように考えると、やはりハードウェア買い替えしかないのかと考えられますが、ハードを買い換えるとお金がかかります。だから、やーめたと考えるのは理として当然ですね。
ありきたりな考え方をするなら、ビスタを導入するには新たにハードウェアを購入してその上でビスタを運用すればいいわけですが、これでは、面白くない。何が面白くないか?まず、先ほど述べたようにお金がかかりますよね。つぎに手間もかかります。これがまたじつに面白くない。ビスタを導入する際に現用OSに導入されているソフトのビスタに対する互換性を調べておかなくてはならない。なぜそんな面倒なことを調べなきゃならないんだ?たぶん、何とかなるだろうと楽観的に考えてインストールすると必要なソフトがビスタでは動かない、どうしようエライこった、となるわけです。
インターネットの閲覧でもそうです。ビスタ上で展開されるブラウザはインターネット・エクスプローラ7(以下IE7と略称)ですが、金融機関のサイトを見てみると、未対応であることが多い。期日中にネット決済ができないという可能性がビスタをインストールすることで発生します。また、IE7はRSS読取ブラウザ等のいろいろな機能がついていると聞いてはいるのですが、他のアプリケーションで対応可能であったものをIE7にまとめてしまったと考えることもできます。機能の統合化を図ったということですね。確かに、それらの機能を使いたければ統合ソフトとしてのIE7を使えばいいのかもしれませんが、新OSをインストールして、他のアプリケーションソフトが使えなくなるというリスクを考えるなら、IE7ではなく他のソフトを使ったほうがいいということになります。
いろいろクリアしなければならない問題が山積しているようですが、これらは時間が解決してくれると思います。1年ほど経過すれば、新OSに対する不具合もあらかた出てきますし、他のソフトベンダーも対応ができるようになると思われます。それから、買えばいいかなと思うのが常識的な判断でしょうか。発売直後に買うというのはリスキーです。
どんなものでもそうなのですが、私はいつも新製品が発売されるたびに今までの製品のことについて考えます。今使っている製品と最新の製品はどう違うのか?その相違は根本的な変更か、それとも現状のアップデートにすぎないのか、等です。
技術の進歩は歓迎すべきことなのですが、古い技術を捨ててしまうというのはあまりにもったいない気がします。技術の基底には思想のようなものが存在しているのです。さまざまな手順や事物の構成に製作当時の事情が偲ばれることが多くあります。技術屋が困難に直面しながらも何とかいい製品にしようと格闘した跡のようなもの。・・・ちょっと、妙な言い回しが続きましたね。
こういう言い方をすればわかってくれますでしょうか。例えば、当社のお客様にもウインドウズ95や98を使っていらっしゃる方がいます。今も使っていらっしゃいますし、今後も使い続けるとおっしゃっていました。自分の使う領域にマッチしているのでこれでいい、十分使える。それに、ちゃんと動作する上、動くものを捨てて新しい物に交換するのはもったいないということもあるでしょう。それをメーカーの修繕に出した時に、買い替えを強く勧めてきたそうです。腹が立ったとおっしゃっていました。
確かに、最新機種が並ぶ店の中で数年前の中古機械を持って行くと新機種に目移りもしますし、当然に店員さんは新機種を勧めてきます。
本当にそれでいいのでしょうか?少し前のハードウェアでもソフトを調整すれば十分に高速化を実現することができます。そのことを考えることもなく、新機種が発売されたからといって新しいものを買ってくださいと勧めるというのは技術の軽視だと私は思います。新しい機種・OSは高速であることは当然です。それが「ウリ」のひとつですから。それに、勧める側から考えると新しいものを売るほうが簡単です。修理をする必要が無くなります。メーカーにとって修理は手間がかかりますし、技術者が時間をかけて修繕するという事は人件費をかけることに他ならない訳です。企業は、余計な人件費を使うことを特に嫌います。しかし、古い技術を使いながらも最小の費用と時間でOSの速度やレスポンスを最新の機種に近づけるように配慮する事が技術屋の役割だと思います。
かつて、大工の親方から職人のレベルを見分ける便法として、面白い話を教えてもらった事があります。新築や大規模の改修工事はある程度の腕があればカバーできる。しかし、小さな修繕をやらせるとその職人のレベルが面白いようにわかるから、採用前に一度小さな修繕をやらせてみて仕事の成果を見てから職人の給料を決めるのだそうです。
修繕の難しさは大工でもパソコンでも同じということでしょうか。
大工の親方の言葉ですが、考えさせられるものがありますね。
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