ワイバーン(wyvernまたはwivern)は、架空の生物の名称。名はマムシを意味するViperからの派生として考えられている。翼を持つドラゴンの中で二本足のもの。飛龍と訳される場合もある。ワイヴァーン、ワイヴァンとも。中世の紋章の図柄としてよく登場するワイバーンは、もともと紋章学より誕生した生物である。当時、ドラゴンの紋章は王室の紋章であったため、ドラゴンに代わるものとして誕生した。ワイバーンの逸話や神話が無いのはこのためである。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用。

 
 
 

オーディオ・コンポのアンプが壊れたので修理しました

平成19年5月11日

 

るほです。最近更新していないですね。もう、言い訳はしません。ごめんなさい。

 

て、先日くらいから私の長年使っていたオーディオ・コンポのアンプが変な調子になってきました。音楽を聴いていると、左のスピーカー部からでる音がひずむんです。

ボリュームを大きくしたり、小さくしたりしても同じような調子で、もう寿命かなと思いました。そうはいっても、長い事使い慣れていたアンプでしたので修理に出そうと思い、日本橋の某オーディオ専門店で修理を依頼しようとしました。

 

そこでの会話。

 

ほ「修理をお願いしたいんだけど。」

店員、ジーッとアンプを見て、

店員「製造された時期から言っても値段的に言っても、もう寿命かもしれませんね。お客様、当店には最新のプリメイン・アンプがありますが、いかがでしょうか?」

私の一番嫌いな言い方で、新品を勧めてきやがったんです。

 

術屋の姿勢で基本になる事のひとつとして、

「これこれの事項について、できるかい?」と聞かれた場合、言ってはならない禁句があります。

それは、はっきりと「できません」という言葉です。

 

なぜかって?できないと言い切ってしまえば、そこで技術の進歩は止まってしまいます。

技術は長い時間をかけて人類が集積してきた経験の集積ですが、それらの経験を発展、応用して人類は空を飛び、宇宙空間へ行くことができるようになったのです。空を飛べるようにしようと考えた技術屋が、「無理だ」と言ってしまえば、空へ飛ぶことができるでしょうか。

 

技術屋が無理を言われて「できない」と言うときには、こう言うべきです。

 

「これこれの件については難しいかもしれない。」

 

これらの違いがわかりますか?

お金と時間をかければ何とかなりますが、お客様のご要望はそれらをクリアする条件を満たしていますか?

それだけのコストと時間を掛けるだけのメリットがそこにありますか?という事を暗に含んだものの言い方です。

て、このような腹の立つことを言われたので修理に出すことをやめました。自分で修理することにしました。そのほうが安上がりであることはわかってはいるのですが、オーディオアンプは安物の部品や修理材料を使うと音楽の音質が低下する恐れがあるということや、フラックスやはんだといった消耗品類が変に高価になるのであまりやりたくなかったのです。しかし、修繕すると決めたのですから、準備に取り掛かります。

 

ず、システムの情報収集です。私の使っているアンプはオンキョー社製A−812EXという製品です。私が中学生のとき最初に買ったのがこのアンプでした。初めに回路構成をはじめとする技術データがネット上で頒布されていないかどうかを検索しました。

古い機種ですので概略的なものはあったのですが、回路構成などの詳細な技術文書は無かったです。オンキョーのHPも行って検索を掛けてみましたが、何も無かったです。

 

アンプ

←わたしのアンプ

(上の機器がA−812EX。

下の機器は、グラフィック・イコアライザーです。

1987年6月発売の20年モノです。オーディオは一生使えます。とても長持ちします。)

えて使える資料があるとしたら、「オーディオの足跡」にあった仕様書ぐらいでしょうか。インピーダンスの概略値がわかってもこれだけじゃ使えないな、と思いながら見ていました。
リンクは、http://www.audio-heritage.jp/ONKYO/amp/a-812ex.html

 

とは言え、回路はアナログですし、オーディオはしっかりとした回路構成がなされているだろうから大丈夫、基盤に妙ちくりんなデジタルICが載っている訳でもないから分解して回路をトレースしていけばなんとかなるかと、腹を決め分解を始めました。

カバーを開けたところ

筐体カバーをはずしたところ。

ホコリだらけですので掃除機で掃除をする必要がありますね。

掃除は整備の基本です。

 

体カバーを取り外して、掃除が終わったら各部の外観チェックです。回路が焼けていないか、煤が多く付いているところは無いか等を見ていきます。

 

見たところ、部品も傷んでいる様子は無いですし、半田や基盤の乖離もありません。綺麗なものです。では、どこから音に歪みが出てくるのか回路をざっと見ながら検証してみました。

リューム部分を動かすと音に歪みが発生するという事は、機械的な部分での故障の可能性が大きいと考えることができます。

 

コンデンサ等といった電子回路部分の故障はまったく音が出なくなるか、常に何らかの障害(無音時にもかかわらずブーンというハム音が出続けているといった状態)が発生していることが多いです。

今回の症状のような場合は、可変抵抗であるボリュームをまわすと歪みが生じるのだから、可動部に損傷が発生していると考えることができます。


ステレオ・アンプですのでボリュームには巻き線が2組巻かれています。1個は右のスピーカーを、もう1個は左のスピーカーの音量を調整しています。これを「2連」の可変抵抗といいます。

ボリュームを一定の状態に固定して、それぞれの抵抗値を何度か測ってみましたが、左右のボリューム抵抗はほぼ同じ値を示しています。可変状態でテスターの抵抗値を測ってみましたが、なだらかな値を示し抵抗値が突出したり、くぼんだりするような事はありません。

問題はないと思いました。

 

は、他に可動箇所があるかを検討すると、スイッチを入れると回路を保護する役目を持っているリレー・スイッチが回路中にありました。

 

リレー

赤丸の部分がリレーの写真

(オムロン社製G5R−2232P)

カバーをはずす

リレーのカバーをはずしたところ(オムロン社製G5R−2232P)。

半ば強引にはずしたので切子が廻りに散乱しています。

掃除機で切子を吸引します。

 

テレオはON/OFFスイッチをいれてもいきなり音は出ません。まず、回路に過電流・過電圧がかからないように回路を電源トランスから切り離し、トランスの通電が安定した後に全回路を開けるという役目を持っています。接点の動くのが見えますので、リレーはとても機械的な部品といえます。

 

ただ、リレーというものは実はクセ者でよく壊れます。一種の消耗品です。この部品は繰り返し内部にある接点を動かしますので金属疲労により壊れたり、ホコリの多い場所だとリレー接点の間にホコリが入って電気が流れなくなってしまったりすることが多いのです。

 

カタログでは10万回程度の動きを保証しているのですが、使用される環境によってかなりのばらつきがあるようです。

それゆえに、半導体を使った無接点リレーといわれるものもあるのですが、電子回路の働きで電気的に切り替えをおこなうものであるために雑音が入りやすく音質重視のオーディオには不向きであるため、アンプではあまり使われていません。

 

た、有接点リレーの接点にはシルバー(純銀)が使われています。銀はやわらかい金属で変形しやすく、接点は空気中の水分と結合して酸化銀の皮膜を形成します。こうなると接触不良を起こし、いい音が鳴らなくなります。

それに、ボリュームつまみである可変抵抗との関係も密接です。ボリュームを上げるということは回路の抵抗値を下げるということであり、回路の中に電流がたくさん流れることになります。

そうすると、調子の悪かったリレー接点でも大電流を流す需要をまかなうためにリレー接点同士がより緊密に接着しあうことになります。つまりは接着の断面積が大きくなるということですね。

断面積が大きくなる力学的作用として余計な雑音が入り込むことは十分考えられますし、音量が小さく小電流の時にはリレー接点がうまくかみ合わず、音に歪みを生じさせることになることにもなると推測できます。

 

回路が閉じている

赤の四角部分に注目。

この2枚ある金属板がリレーの可動部分。

この2枚の金属板が離れている状態が回路に電流が流れていないことを示している。

回路が開いている

今度は赤の四角部分を見てみると、上と比較して2枚の金属板が密着していますよね。

この状態が回路に電流が流れている状態です。

この部品の引っ付き具合の善し悪しで、音質が良くなったり悪くなったりします。

この部分がトラブルの中核かな?たぶんここだろう!ここの可能性は大きい。とりあえず、リレーを何とかしてみようという方針を立てます。

 

では、リレーを交換してしまえばいいのでしょうか?せっかく分解して時間を掛け、修理している訳です。

それだけでは面白くありませんよね。せっかくですから、今、回路に付いているリレーを生かす方法について考えた後に、どうしても交換が必要だという場合は交換するという2段構えの方法をとってみましょう。

せこいようですが、この方が修繕費用も掛からないし、何より面白いです。

 

施工方針として私が考えたのは、

  1. はじめに既存のリレー接点をリレー・クリーナーで洗浄し、きれいにして音楽を再生してみる。これで綺麗な音がでれば、今回はこれでOK!
  2. これで駄目な場合は、リレーを交換する。おそらくリレーの寿命が10年〜20年くらいだろうから、次のメンテナンスも考えて、リレー用のソケットを取り付けてリレーを差し込む。

 

というものです。まず、1をやってみることにしましょう。

 

接点クリーナー

1に関連するものとして、

 

接点を洗浄するためのリレー・クリーナー。サンハヤトのRC−226という製品。

これを持っていると意外と便利です。

リレーとソケットのカタログ

2に関連するものとして、

 

リレーをマウントするためのソケットとリレー(オムロン社製G5R−2232P互換品)。

基盤の上にソケットを差し込んで半田付けしたその上にリレーを差し込む。

脱着可能にすることで次回の交換時間を短くすることができます。

やはり、次に何をすべきかはあらかじめ考えておくべきだと思います。

は、やってみます。接点を洗浄するためのリレー・クリーナーはサンハヤトのRC−226という製品を使います。この薬剤は、電子部品を洗浄後にすぐ乾いてしまう速乾性の洗浄剤です。部品が完全に乾ききっていないような状態でも、電導性が無いためすぐに機器を使うことができます。これを吹き付けます。

クリーナーを吹き付け中

付属のニードルを使って接点に吹き付けます。

何回か吹き付けることで、接点についているごみやカーボンといった汚れを落としてしまいます。

ぐに使えるといっても、機器は高価なものなので壊れてしまうのは困ります。万が一を考えて30分ほど置いておきましょう。30分ほど置けば完全に乾いているはずです。

 

完全に乾いたので、通電して様子を見てみます。

音楽を聴いてみると、歪みはほぼ無くなりました。普通に聞く分なら大丈夫かな、というレベルです。だた、低音域が弱い。このアンプの出力特性であり、仕方が無いところだと思いますが・・・。

とは言っても、アンプの低音出力の弱さに加えて、スピーカー出力を左右対比しながら聴いていると、どうも左側のほうが低音の出力が小さいように聞こえる。やはり、おかしい。

まだ、リレーの他にも改善の余地があるようです。今回は、これで片付けて2、3日様子を見てみましょう。

 

リレーの蓋を付けて仮止め

リレーの蓋を付けて埃が入らないようにします。

黄色のテープで仮止めしておきます。

回の施工方針1では、満足な結果を得ることはできませんでした。次回はリレーの交換と他の原因について検討してみようかと思います。修繕に使う材料集めを行います。

 

精度の問題からも、時間上の制約からも、通常の機器ではここまでやらないのですが今回の相手はオーディオ機器です。

 

音質という「優雅さ」が要求される機器ですから、時間と材料には多少の出費を掛けようと考えています。

今回はこれで終わります。

 

その2へつづく

 

 

 

 

 

 

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